CIQTEK SNVMによるグラフェンエッジ磁化の可視化

六方晶窒化ホウ素格子に埋め込まれたジグザググラフェンナノリボンにおける磁性に関する研究 ~グラフェンスピントロニクスにブレークスルー~

出典: C. Jiang et al.,
“Signatures of magnetism in zigzag graphene nanoribbons embedded in a hexagonal boron nitride lattice,”
Nature Materials 24, 1592–1599 (2025).

要旨

グラフェンを細長いリボン状に加工したグラフェンナノリボン(GNR)のうち、端部がジグザグ状に配列したジグザグ型グラフェンナノリボン(zGNR)では、エッジ部分に磁性を持つ電子状態が形成されることが理論的に予測されてきました。
しかし、ナノメートルサイズのzGNRが生み出す局所磁場は非常に微弱であり、その磁性を直接観測することは容易ではありませんでした。

2025年に Nature Materials に掲載されたJiangらの研究では、zGNRを六方晶窒化ホウ素(hBN)中に埋め込むことでエッジ構造の安定化を実現し、その磁気特性評価に成功しました。

研究グループは、CIQTEK Scanning NV Microscope(SNVM)を用いてzGNRに由来する局所的な磁気信号を観測しました。さらに、幅約9 nmのzGNRを用いた磁気輸送測定においては、4Kでのコヒーレント輸送を示す干渉パターンや異方性磁気抵抗が確認され、zGNRのエッジ状態に安定した磁気秩序が存在することを強く支持する結果が得られています。

この成果は、電子の電荷だけでなくスピンも利用するグラフェンベースのスピントロニクスデバイスの実現に今一歩近づける可能性があります。

 

SNVMとは?

SNVM(Scanning NV Microscope)は、ダイヤモンド中のNVセンター(Nitrogen-Vacancy Center:窒素-空孔中心)を高感度な量子磁気センサーとして利用する走査型顕微鏡です。

NVセンターを試料表面近傍まで近づけて走査し、その電子スピン状態を光学的に読み取ることで、試料表面の局所磁場分布をナノスケールで二次元的に可視化します。


SQUID(Superconducting Quantum Interference Device)を用いた走査型磁気顕微鏡やMFM(Magnetic Force Microscopy)なども局所的な磁気情報の観察に用いられますが、室温・大気圧下で、ナノスケールの空間分解能と単一スピンレベルの高い磁気感度を両立し、局所磁場を定量的に測定できることは、SNVMの大きな特長です。

今回の研究は、ナノスケールのグラフェン構造に由来する磁気信号を局所的に捉えたSNVMの応用例として、その有用性を示すものです。

 

CIQTEK Scanning NV Microscope(SNVM)について

 

本研究で使用されたCIQTEK Scanning NV Microscope(SNVM)は、NVセンターを利用した量子磁気センシングとAFM走査技術を組み合わせた装置です。

二次元磁性材料、スピントロニクス、マグノニクス、反強磁性材料、磁区・磁壁、スキルミオン、超伝導体など、幅広い磁性研究への応用が期待されています。

 

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出典論文はこちらから
C. Jiang et al.,
“Signatures of magnetism in zigzag graphene nanoribbons embedded in a hexagonal boron nitride lattice,”
Nature Materials 24, 1592–1599 (2025).
DOI: 10.1038/s41563-025-02317-4
https://www.nature.com/articles/s41563-025-02317-4

CIQTEK SNVMの詳細はこちらから
https://www.las.jp/qdafm.html